廻り灯籠を作ってみました
数年前に深川の友人が江戸文化を広める活動拠点「深川踊り劇場、」を門前仲町駅前にオープンするにあたり、初回のウインドウディスプレーを制作させていただきました。
その際に、装飾品のひとつとして灯籠を作りました。江戸のイメージでノスタルジックな風物、且つ私の経験が活かせるものとして幼い日の思い出にあった「廻り灯籠」です。
しかし、何度試作してもボンヤリとした絵柄しか映らないので、最終的には方針を変えて切絵を用いた灯籠を納めさせていただきました。
性格上、モヤモヤして終われないので、それからしばらくの間、どうしたらハッキリした絵柄の廻り灯籠が出来るだろうかと推敲を重ねました。
デッサンノートの灯籠のページが真っ黒になり始めた頃、ひとつの仮説が立ったので正確な設計図を書きました。
枠を作る
12mm角の材料をカットしてパーツを作ります。
組み立ては接着だけなので、なるべく直角かつ寸法通りに切ることが大切です。
一組分のパーツの同じ寸法のものがぴったり同じ長さになる様にサンドペーパーで仕上げます。
手づくりの作業台を使います。作業台はコンパネと垂木を組み合わせたもので、出来る限り正確な直角が出るようにしてあります。
接着にはタイトボンドを使用しています。酢酸ビニール系の木工用ボンドは完全硬化しないので切削できないからです。
その都度直角になっているか曲尺を当てながらクランプで押さえていきます。
48時間ほど完全硬化を待ち、接着剤がはみ出した部分を小刀、サンドペーパーできれいに仕上げます。採寸をきっちりしているので仕上がりはガタつきが無く、かなり頑丈です。
本体の底の部分にセラミックのコード付きソケットを取り付けます。ソケットは皿の木ねじで固定しますが、下穴を開ける時に電動ドリルが届かないので延長アームを使います。
ドリルがぶれない様に下穴の位置にあらかじめ目打ちで軽く穴を開けておきます。
障子紙を貼る
灯籠の絵を投影するために障子紙を貼ります。四面をぐるりと貼り付けて、乾いたら余分な紙をカットします。
接着剤には酢酸ビニル系の木工ボンドを水で薄めて刷毛で木部に塗布します。足の部分には貼りたくないので、予めマスキングテープを巻いておきます。
接着剤が乾いたら余分な紙をカッターでカットします。アルミ定規と枠をガイドにしてカッターマットの上を切っていきます。
最期に霧吹き(なるべく細かい霧が出るもの)で水を紙全体に吹き付け、乾燥させると紙のしわがきれいに伸びます。
絵付け
浮世絵は著作権が切れているとはいえ、そのまま使いたくないのと投影した時にくっきり映る様にイラストレーターでトレースしてシンプルな色付けをして耐熱フィルムサイズに合わせてレイアウトします。投影された絵が紙の中央に大きく映るバランスを探し、何度もテストして最終的な絵柄を作って行きます。
灯籠の絵が回る仕組みは白熱電球の熱が上昇する際に起こる気流で風車を回します。
風車の羽根の角度を起こしたり倒したりして早すぎず遅すぎずのスピードに調整します。
微妙なぼやけ具合で仕上がりました。
現在は100V仕様なので海外向けには変圧アダプターが必要です。
完成!
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